個人の確定申告というと、3/15に税金を払うというイメージが強いです。

ただ、事業をされている個人事業主の方は、7月と11月にも所得税を払っているという方が多いかと思います。

これは、「予定納税」という制度が関係しています。

この制度は、去年の確定申告の税額が多い人は、今年も同じように多いでしょうという考えに基づいたものです。

そして、その税額が大きい場合、3/15に一括で納付するのは納税者にとっても大変だし、国側としても全額払ってもらえない可能性もあるから、7月と11月の2回、事前に納付して残りを3/15に精算して払って下さいというものです。

ここで、境目となる税額は15万円です。

前年の確定申告の税金が15万円より多いか少ないかで、今年予定納税をするかどうかが決まります。

15万円という金額は、「予定納税基準額」と呼ばれるもので、譲渡所得や一時所得など臨時的な所得は除いて計算される年間の税額です。

事業だけをされている場合は、その事業所得に対する確定申告での年税額のようなイメージです。


前年の税額が3万円の場合、15万円未満ですので、今年は3/15の納付1回となります。

もし前年の税額が300万円の場合、7月中に100万円、11月中に100万円を事前に払って、残りは確定申告をする3/15に精算することになります。

ただこの制度は、毎年の所得がある程度一定であることを想定したものです。

そのため、「今年急に業績が悪くなった」、「個人事業を廃業し法人成りしたので個人の所得は少なくなる」などの場合は、今年の資金繰りを一時的に圧迫させてしまいます。


こういった時に活用できる制度として、「予定納税額の減額承認申請」というものがあります。

実務上は「予定納税」そのものより、この「減額承認申請」の方が大切です。

この辺りにアンテナを張っておくことで、個人事業者の方から、資金繰りが厳しい、今年は業績が思ったより良くないといった言葉があった場合に対応することが出来ます。


上記の例の場合、前年の税額が300万円で、今年の予想税額が120万の場合、この減額申請を7月15日までにすることで、7月中に40万円、11月中に40万の支払となり、資金繰りを大幅に改善することができます。(7月・11月の合計 200万円-80万円=120万円)

この申請は2回チャンスがあり、7月の申請を逃してしまった方も11月15日までに申請すると11月納付分については適用されます。

申請書の他に添付書類として根拠となるものを提出しないといけません。

試算表があればそれで十分です。

特に決まりはないため、根拠が分かれば手書きの資料でも大丈夫です。

結局は確定申告で精算されるため、申請の有無に関わらず年間の税額は変わりません。

ただ、資金繰り的には全然違います。

個人の場合、資金繰りが圧迫されるとそれが直接生活に影響を与えますので、この辺りの制度を上手く活用することが大切です。