この言葉は今から20年ほど前、私が初めて税理士業界に入り就職した税理士事務所の理念の1つです。

それから今に至るまで、この言葉を大切にしています。

当時、初めての税理士事務所でしたので何も分からない状態でした。

東京にあり、税理士である所長と、職員7~8名の事務所でした。

事務所内での会話や電話、会議では専門用語ばかりで宇宙語が飛びかっているようでした。

入社後しばらくして年末調整の時期になり、「年末調整って何ですか?」と聞いてとても驚かれたことを覚えています。

1年ほど前、東京に行く機会があったので懐かしく思いそこの事務所を通ってみたのですが、看板はすでにありませんでした。

調べてみると、今は所長の自宅が税理士事務所として登録されているようでしたので、場所を変えて今でも税理士として活躍されていると思います。

この事務所では、毎週月曜日の朝礼で事務所の3つの理念をみんなで唱和するのですが、そのうちの1つが上記の言葉です。

この言葉は所長の人間性をあらわしているような言葉でした。

この事務所の所長は、仕事上はもちろん人間としてもとても尊敬できる方で、自分もいつかこういう税理士になりたいと思っていました。

税理士は税務・会計の専門家であるため一定の知識を有していることは当然です。

一般的な税金の質問ならどの税理士も似たような回答が返ってくるはずです。同じ会社なら申告書も同じ内容のものが出来てくるでしょう。

ただ、人に対する態度、お客様や従業員に対する接し方、考え方はそれぞれです。

税理士として専門的な知識が豊富であることはもちろん大切ですが、それ以上に人間性も大切だと思っています。

税理士になると、「先生」と言われるようになり、さも自分が偉くなったように勘違いしてしまうのですが、そうならないようにこの先もこの言葉を大切に人間性も高めていきたいものです。